時計の罠

測定するのに各種ソフトを使うわけですが、市販ソフトはまだ良いとしても

注意しなければいけないのが社内流通ソフトです。

本職がソフトでない先輩エンジニアがその場しのぎで作った(書いてて耳が痛い)ソフトが意外と長生きして使われていたりします。

昔、VB6で作られたソフトで連続試験のデータを3日ほど取って

エクセルで横軸:時間、縦軸:測定値の散布図を書かせていたんです。

時間はソフトが測定開始ボタンを押してからの経過時間が出力される形式だったのですが

2日以降の所で経過時間が0にリセットされ、散布図がぐちゃぐちゃになりました。

その場は、手作業で無理矢理時刻を修正して事なきを得ましたが

元は測定ソフトの時刻処理実装に起因したバグなので修正しようとしたら

案の定スパゲッティコードになっていて、時刻処理を直しただけのはずなのに

時刻と関係ないバグが表面化して、心折れ、諦めました。

VB6とか使われている所では2015年の今でも使われているのでご注意を。

 

スマホ用アンプ2

前回に引き続きスマホ用アンプ構想

 

今回のアンプの回路に関しては昔から作って見たかった回路を採用しようと思う。

その回路はCQ出版のOPアンプ大全4巻「OPアンプによる増幅回路の設計技法」に掲載されている

「歪みを最小にするため複合帰還の原理を適用したバランス型トランス駆動回路」

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トランスの低域カットオフ周波数は主としてトランス一次側の巻き線抵抗Rと一次インダクタンスの時定数で決まる。

真空管アンプの低域カットオフ周波数が低いトランスがやたらと大きくなるのは主にそのせい。Rを小さく、Lを大きくすると低域カットオフ周波数が下がる。

そのために配線を太く、巻き数多くする。

巻き数が大きくなるとトランスのコア材が磁気飽和して、実効的なLが上がらなくなってくるので、巻き数を増やすのと併せてコア材のボリュームを上げる必要がある。

こうして、低域カットオフが低い物ほど、スペック的にはともかくサイズと価格的にイマイチなトランスができあがる訳だ。

 

上記回路図はトランスは安価な物を用いつつ、複合帰還で巻き線抵抗Rをキャンセルして、低域カットオフ周波数を下げる事に主眼が置かれた回路と解釈している。

詳細については上記引用文献参照のこと。

今回は元回路を参考にしつつ以下の点を考慮して定数と構成を変えている。

  • 信号源はスマホのイヤホン端子に限定。それにより
  1. 直流オフセットは無視できる程度しか入力されない
  2. 信号源インピーダンスはイヤホン(大体32Ωくらい)を駆動できる程度には低いと期待できる
  • 仕上がりゲインは約12倍を想定
  • 現物のトランス一次巻き線抵抗に相当するR7を実測の上、R6は調整する
  • 可変抵抗類は用いずR6は2~4個程度の抵抗の組み合わせで作る物とする。
  • トランス巻き線抵抗の温度補償のためR6の温度特性は+3000ppm/℃~+4000ppm/℃になるよう構成する

方向性はこんな物、オペアンプが決定した段階で位相補償関係の素子を追加する。

LTSPICEで作図しているため、スマホ用アンプ1で述べたような案件を実現できそうなアンプとしてLTのLT1678をチョイスした。

他社で言えばTIのOPA1612、 OPA2211、LM4562系が該当するものと考えてる。

簡単に価格と入手性を確認した限りだとLM4562系が秋月で安く購入できて600Ω負荷を駆動できるのでよさそう。 

 

 

スマホ用アンプ1

スマホの音をPC用スピーカーで出したいが他の機器と音量が違いすぎて不便である。

何が不便って、スマホのためだけにアンプのボリュームをいじりたくない。

テレビを見たり、PCで音楽を聴いたりするのに最適な位置になっているボリュームを使用頻度の低いスマホのために動かしたくないのである。

じゃあ、スマホのボリュームいじれば良いじゃんと言いたいが、スマホの出力音量を最大にしてもまだ音が小さすぎるのである。

 

というわけでスマホの音量を増幅するアンプが欲しくなりました。

最近電子工作をしていないため、フラストレーションと余計な部品がたまっているのを解消したいという気持ちもあります。

 

アンプの必要スペックにあたりをつけるためにスマホを実測した。

1kHzのサイン波を音声出力するアプリをインストールして、最大音量時の振幅を測定。

ざっくり200mVppと言った所だった。

CDプレイヤーのラインアウト出力振幅は1Vrms=2.8Vppくらいだから、レベルを合わせるなら10倍~14倍程度の利得が欲しい。

一番簡単な解は5V単電源で動くデュアルオペアンプを一個で済ませる構成だがそれではつまらない。手元に600Ωライン用トランスが余っているので無駄遣いしたい。

 

後、ヘッドホンやスピーカーを動かすことは一切考慮していない。電圧を増幅して、ミキサーに入力するだけ。アンプの負荷は一番重くて600Ω。それ以上パワフルな機器を今のオーディオ環境下で新しく作る必要が無い。なので消費電力は控えめにして、コンパクトに作りたい。

出力信号が2.8Vpp程度で600Ωをステレオ分駆動できれば十分だから、

仮にrail-to-rail出力オペアンプを使うなら3V単電源が最低必要。

最低限必要な消費電力は(3V)^2/600Ω*2=0.03W

オペアンプの静的消費電流などを考えても1W級の電源があれば、まず確実に動く。

ノイズの問題がなければUSBハブから電源を取るのが一番余計なモノが少なくてすみそうだ。

5V入力の絶縁電源モジュールが良い感じに手に入るとすっきりしそう。

オペアンプのチョイスに関しては、入手性の良い電源の仕様次第ということで一端保留。

 

あと、無駄なこだわりとして、スマホのイヤホン端子が信号源なので、イヤホン負荷32Ωを駆動可能と当てにして良いはず。

ノイズ的な観点と趣味でアンプの入力インピーダンスは600Ω負荷程度まで下げたい。

そうすればバイポーラのオペアンプもオフセットが気にならないでチョイスする当てが生まれてくる。続く。

社会人数年目電気電子回路系エンジニアのリアル

電気系エンジニアとして給料もらうようになって数年が経ち、後輩もできてくる訳ですが意外と後輩が電子回路のことを知らない。

電気電子工学科出身なのに知らない。

 

私は大学時代から愛読書はトラ技無線と実験、買ってきたアンプキット組んでみたりとかの生活をしていました。

入社時点から何とな~くプリント基板の配線の引き方作法みたいなのが身についたりしていたので

意識せずとも回路図とかプリント板のパターンを見ればざっくり何したいかは分かったのですが

同じモノを後輩が見てもよく分からないと言います。

 

で、なんでこんな事になるのか自分で考えてみて

思いついたのが次の仮説。

「大学で習ったはずの交流回路理論と実物が結びついてない電気系の学生が多い」

授業居眠りしまくりだった私ですが、自分で回路設計したかったので

キルヒホッフの法則とかテブナンの定理とかを意識しつつ、Z1とかZ2、Z3で表される素子による分圧とか分流といった交流回路理論の教科書問題とかさんざん解いてました。

で、Z1とかZ2、Z3をそれぞれ配線寄生インピーダンスパスコンマイコンとかに置き換えて動作を考えるような癖がついています。

 

でも、後輩的にはそれを話してもピンとこないような顔をされます。

授業ではあくまでも純粋な理論として習い、実物の電気回路素子との関係性みたいな事を意識しない授業や研究テーマを大学で勉強してきたからだと思います。

 

私の出身大学も実物の電気回路を触るような研究室はほとんどありませんでした。

無線工学とか制御理論とかの方が幅を効かせていたので

会社に入ってから電気回路メインの部署に配属されても

実験授業以外で電子回路を触るのは初めてでよく分からない人が多いのでしょう。

 

大学の方でもう少し理論と実践を結びつけるようなフォローして欲しいなぁと思います。

(私じゃない)先輩に無茶ぶりされても、そういう部分の基礎が足りてないから

先輩の言うことを鵜呑みにせざるを得なくて、適切に反論できないてないのが可哀想で。

 

 

 

 

 

マザーボード電池切れ

帰宅してPCの電源SWを押したのにPCが立ち上がらない。

もう一度押す→電源ランプつく→数秒後に電源ランプ消える→もう一度押す

を繰り返して何とかPCが立ち上がったかと思ったら

PCの時計が2009年を指し示していた。

 

マザーボード上にあるボタン電池が切れて、時計が狂ったようです。

5年~10年で電池切れらしいので6年ならありうる話です。

 

初めての体験だったので、とりあえず時計をスマホ見ながら修正したのですが

10分程すると、また時計が1時間ぐらい狂っていた。

これはあかんわ、とマザーボードボタン電池交換方を確認してから

リモコンおよび電卓用交換部品としてストックしていたCR2032電池を探して

PCケースを開けて交換。

ビデオカードの下に配置されているため、わざわざビデオカード外すのが面倒でした。

とりあえずBIOS関係が電池交換でリセットされたので

それも修正して再起動。

無事環境復帰。

とりあえず、最近の不安定がボタン電池寿命のせいだった可能性を疑い

半月ほど様子を見る所存。

 

2015年冬の自作PCモデルチェンジ考

ボーナス時期が近づいてきたので自作PCのモデルチェンジを考えてます。

前回アップグレードしてから約3年経過して

主要部品のカタログスペックだけを眺めると現役ですが

老朽化が疑われる再起動が頻発するようになってます。

多分、電源周りのコンデンサが天寿を全うしようとしているのでしょう。

これは前々回購入したモノだから6~7年は経ってるはず。

ハードディスクも、そろそろ故障を視野に入れる時期に入ってきています。

その他にもPCケースファンが老朽化してうるさいです。

 

まあ、そんなこんなで結局フルモデルチェンジするのが良かろうと思っています。

前回PCを組んでから、自作関連情報からは遠ざかっていたので今のトレンドを確認して書き留めておきます。

 

基本要求スペック(現状並程度)よって現状スペックを列挙

1.トリプルディスプレイ

2.メモリ16GB

3.CPU Core i7-2600k TDP95W

 4.SSD240GB

5.HDD計5TB

6.光学ドライブ×2

7.ケース

8.電源

 

それぞれどうするかを以下記載

1.トリプルディスプレイ

何でロクにゲームしないくせにグラフィックがトップかと言えば27型(Displayport)+23型(DVI)×2 の

逆Δ配置というロマン仕様で使用しているからです。

(この配置の利点は机の横幅とらないのとスピーカーの配置が不自然にならない)

オンボードグラフィックでデュアルディスプレイまでは見たことありますが

トリプルディスプレイ対応(DP×1、DVI×2同時出力)マザーがあるか否かが微妙です。

Intelの最近の内蔵グラフィックは対応して居ますが、コネクタ類が十分でないマザーもあるので様子見つつ選びます。基本的にはZ170チップセットマザーで。コネクタ三つあるけど二つは排他利用みたいな落とし穴にはまらないよう気をつけて。

 

追記:2015/11月初旬時点でトリプルディスプレイどころか

DisplayPort×2 or DVIx2みたいなH170 or Z170マザーボードが存在しない可能性濃厚。

しかも、ベンチマーク的には現行のNVIDIA中級グラボの方が世代差考慮しても

スペック勝ってるっぽい。買う必要がなさそう・・・

 

2.メモリー16GB

容量選択の基準は通常使用範囲でスワップを発生させないこと

(特にSSDの寿命をスワップで縮めたくなかった)

実用上問題無かったので容量そのまま。

CPUは最新世代にするので、それに併せてDDR4-2133(DDR4 PC4-17000)メモリを選択。14kぐらいのはず。

 

 

3.CPU Core i7-2600k TDP95W

今のPCがSandy Bridge世代のCore i7

最新がSkylake世代。一個前がBroadwell世代。

CPUは実質パワーを余らせている状態なので若干処理能力を下げてでも

TDPを下げて放熱ファンのノイズレベルを下げたい。

よって、選択肢はCore i5-6500 or 6400となる。

それにしてもCPUの値上がりを感じる。

前回円高で、今円安だからって部分はあるにしてもCore i5-6500が24k~25kって

若干納得がいかない。

かといって、Intelと比較してAMDもお値打ち感があるかと言うと

そこまででもないし、TDPも性能の割に高めに見える。

Intelが14nmのCPUだしてるのに、AMDが未だに32nmのCPUという時点で勝負になっていない。

渋々ながらCore i5-6500か6400でマザボとセット売りしている具合良いのをチョイスする感じだろうか。

 

4.SSD240GB

これは微妙なラインである。3年使用して240GB中100GB使っている。個人的にはSSDの容量使用率を50%以下に抑えたいところだが、一個上の容量はいきなり500GBまでジャンプするため、今度は余らせすぎてもったいない感が漂う。お値段もほぼ2倍になるため悩ましい。とりあえず、240GB品を購入して、必要そうなら買い換える方向で。

12k~15kぐらいで240GB~250GBの有名ブランド品を購入。安物は相性問題出た例を知っているので避けたい。

 

M.2スロットでリード2GBオーバーの世界も魅力的だがプレミア価格が一万ぐらい上乗せみたいなので様子見。

 

5.HDD計5TB

足りなくなったら買い足す式で3台つながっているので、

容量若干余らせすぎで音と消費電力の点で不利。

できれば4TB一台に集約したいところ。

 1GB単価3.7円ぐらいとして14k~15kで購入したい。

 

6.光学ドライブ×2

正直、2個いらないし、書き換えも必要ない。たまに音楽CDとBDが読めれば十分。多分、BDなくてもPS3で再生するから困らないし。ぐらいのノリ。

新規購入せずに1台だけ使い回す。

 

7.ケース

E-ATX対応のケースででかい。あと、排気ファン類が交換しないとうるさい。

でも、こんなでかいケースは今の時代いらない感もある。拡張性も最近はUSB3.0の適当数あれば問題ないのでMicroATXに変えたい気もする。

でも、ケースはやたら高いので使い回すしかないのだろう。 

 

 8.電源

一応うるさくなさそうなファンレスの400W~550W級があれば良いかなと。

概算ですが内蔵グラフィックで済ませる場合300W強あれば十分ですが、内蔵グラフィックでどうにもならない可能性も捨てきれないので。

 

大体こんな感じ。10万に収まって欲しいモノです。

 

MOSFETブリッジダイオード

18年6月追記:本記事の内容は追加の検討した結果、下記回路は諸々部品が足りないので素直にブリッジダイオード使う方が無難との結論に達しました。簡単に言えばダイオードとして使いたいのに逆流する瞬間が存在するのでブリッジダイオードより大幅にリップルが増えます。対策しようとするとディスクリートで組む気が起きない程度に大きい回路が必要なので勉強のためのお遊びにとどめておいた方が無難です。

 

リニアテクノロジーの理想ブリッジダイオードコントローラー

LT4320があります。

秋月からこれを使った理想ブリッジダイオードも出ていますが

いかんせん高い。趣味の電子工作に使うには値段も合わせてオーバースペック感漂います。

欲しいのはせいぜい~±15V2Aぐらいを作れて、ダイオードブリッジの電圧ドロップが

0.6V×2から0.3V程度まで減って、ダイオードブリッジ組むのとお値段があまり変わらなければうれしいな。ぐらいのイメージです。

で、下記URLのIR DESIGN TIPSを見たときから応用すればブリッジダイオード組めそうだな~なんて頭の片隅で考えてました。

http://www.irf.com/technical-info/designtp/dt94-8.pdf

 

で、こんな回路組めば良いじゃんと最近気づいたのでメモ。真ん中部分のトランス相当のインダクタ三つと結合係数K1は適当。単に100V→12Vぐらいになるようにしただけ。

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で、Sim結果はこちら。意図通りのブリッジダイオードになっていそう。

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この結線ならNMOS, PMOSのvgs最大値はそれぞれvp,vn電位に制限される。よって、秋月あたりで入手しやすい耐圧50V,20AくらいのNMOS, PMOSのVGS絶対最大定格が±20Vなことを加味すると±12Vぐらいまでは難しい事を考えずに使える気がする。

ただ、当初もくろみよりもVDSが約0.7Vと大きめ。Ronが高すぎるのか、スパイク電流が大きすぎるのかは一度実機を組んで確認しておきたい。

 

この回路でダイオードドロップを0.3V程度まで下げられるなら、海外製の安いけど半端な電圧になりがちなAC115V入力トランスとか、真空管のヒーター直流点火回路に具合が良いはずなので期待したい。