ノイズフィルタ
今時、USB接続のヘッドホンアンプなり、DACなりでPCの音を出している人が多いと思いますがノイズきになったりしませんか?
私の場合、先日購入したUSB-DACをつなぐと、ブラウザをスクロールさせたときに聞こえる「ジー」って音が気になってました。
音量的にはスピーカーでは聞こえず、無音時にヘッドホンだと聞こえるぐらいですが
一度聞こえてしまうと我慢できません。
よくあるケーブルにパチンと止めるタイプのノイズフィルタでは効果がなく、もっと直接的かつ強力にフィルタリングしたいとおもってました。
同じようなことを考えた先達はいるもので、
以前、村田製作所がHPで公開していた定数のコモンモードチョークやフェライトビーズを使ってフィルタを自作している人たちがいました。部品が小さいのと周波数高めなことを考えるとユニバーサル基板やジャンパで作るのは止めておいた方が無難そうだったので手習いがてらにPWB基板作るかなんて思っていたら、
自作する場合の部品代とPWB基板代を考えたらリーズナブルなお値段で完成品見つけたので買っちゃいました。
効果は覿面で、今まで聞こえていたヘッドホンのボリューム12時では聞こえず、常用外の3時ぐらいまで上げると聞こえるぐらいに減少しました。
回路的にはデータ線にコモンモードチョーク一つ、
電源線にコンデンサとフェライトビーズ(VBUS, GND両方)でパイ型フィルタ+コモンモードチョーク+タンタルコン?
とシンプルなものですが効果はばつぐんでした。
多分上記部品を買っても部品代1000円しないはずなのでUSB関係の基板を自作される方は入れるのを検討してみてはいかがでしょうか?
USBオーディオ向けにノイズ対策したというHUBを4万で買うより、よっぽど安上がりに済むと思います。
村田製作所かTDKのUSB向けコモンモードフィルタとかのラインナップから秋月あたりで買えそうなのをチョイスすることになると思います。音声帯域よりも周波数が大分高いので、でかいコンデンサVBUSにいれるために線を長く引きずると逆効果になりそうなのが注意点?
続ミキサー考
引き続き多chミキサーのことを延々考えてます。
入出力端子の取り付け方とケースサイズの関係、
加工するとして適当なサイズとお値段のケースは何かなど考えることはたくさんです。
電源は筐体外出しにして±15V作ってパワコンで入力
無理矢理6chステレオ入力と2chステレオ出力端子を確保したいところです。(入力1系統ぐらいフロントに持ってくるのもあり)
基本的なデザインはラックマウント型っぽいルックスにしたいです。
前回言及したSTUDIO-CAPTUREのような2U(44.45mm×2)の高さで幅300mmぐらいに納めたい。
で、一つ頭を抱えていたのがボリューム制御、入出力制御をどんな機構で実現するか?
仮にボリュームはマイコン+ロータリーエンコーダーで制御するとして、チャンネル毎のミュートボタンをつけたいけど、ボタン類が増えれば増えるほどフロントパネル加工の難易度が増すw
回路部分は多少複雑になっても、頑張って設計する気になりますが手先が不器用というか雑なので気が滅入ります。
で、そんなことをつらつら考えながら参考になるミキサーは無いかと探していたらこれを見つけてひらめいた。
そうだ。今時ならタッチパネルという解決策があるじゃないか!
(ファーム実装の難易度からは目をそらしつつ)
主目的がミキサーなので、タッチパネルまわりの設計難易度を下げたいところですが世の中にはちょうどいいものがあります。
Discovery kit with STM32F746NG MCU
いわゆるタッチパネル付きARMマイコンの開発キットです。
外形寸法もW130mm×H80mmと狙ったケースサイズにちょうど収まりそうな感じ。
タッチパネル付きARMマイコンを触って見たかったのですが自分にとって有益なアプリケーションを思いつかずお値段が多少高いこともあって手をだしていませんでした。
いろんな意味でおもしろくなってきました。
それはそうと、上記記事のデジタルミキサーはオサレでかっこいいなぁと思います。
用途とお値段が見合わないので縁がなさそうですが。
生存報告
年始にPCのアップグレードして、OSの再インストールしてたら電子工作から遠ざかっていました。
各種ツール類のセットアップでやり遂げた感を味わってしまったのが諸悪の根源。
まあ今後は、たまに更新します。
最近、ROLANDのSTUDIO CAPTUREの取り扱い説明書見てたら多ch電子ボリューム制御のミキサーが作りたくなりました。
イメージしていた操作感のミキサーそのまんまなんだもの。LM1972をchごとに仕込んでフロントパネル制御用のマイコンから操作すればいい感じにできるのでは無かろうか。8chステレオ入力、2ステレオLINEOUT(or 1ステレオLINEOUT、1ヘッドホンアウト)で幅30cmぐらいで作りたい。
スマホアンプ放置してるのにw
スマホ用アンプ3
先日回路がざっと決まったのでプリント基板の設計に入りたかったけど、肝心な部品の入手法が見つからなかったので棚上げしていた。
既に決まっている主要部品は以下の通り
トランス:TriadMagnetics TY-146P(600Ωライントランス。手持ちがあったので)
オペアンプ:LME49720(手持ちがあったので)
電源:Straberry Linuxの5V入力±12V絶縁電源(±5V電源を組むより小さくなりそうだったので)
抵抗とコンデンサは手持ちから適当に
それは温度補償用の抵抗。今回のアンプはトランスの巻き線抵抗による電圧降下を打ち消して、低域特性や歪みを改善する回路です。巻き線抵抗の電圧降下を正確に検出する必要があります。上記TY-146Pの直流抵抗は実測17.2Ω(1-2ピン間)、18.8Ω(3-4ピン間)2ピンと3ピン、6ピンと7ピンを短絡して使う。
どれぐらいのマッチングを取る必要があるかを前回の回路を修正して.step paramでR6を変えて確認。R12, R13は歪みの原因となる鉄損の簡易モデル。10Megは実測ではなく、回路図的にココに入るよと示しているだけなので、外してもSim結果に実質影響しない値を入れている。
緑:0.001Ω、青:34Ω、赤:35Ω、水色35.1Ω、紫:36Ω
巻き線抵抗との誤差が約1Ωと0.1Ω以下では低域カットオフ周波数が一桁近く異なるためできるだけ0.1Ω以下。35Ωの0.03%まで追い込みたいけど、このオーダーを可変抵抗無しにチップ抵抗付け替えで対処するのは無理だろうなぁ。
高域のピークについては後日対処する。
何にせよ35Ωくらいを作れてかつ、トランス巻き線抵抗と近い温度係数の抵抗を探す。E6系列だと33Ωと直列に2.7Ωを入れて2.7Ωに並列抵抗をつけて調整する感じだろう。
並列抵抗を多回転ボリュームにして、f特を見ながら調整するのが最良だがはてさて。
で、トランスの巻き線は銅なので+4000ppm/℃くらいの温度係数が見込まれる。
室温20℃±20℃を動作温度と設定し、その範囲内でミスマッチを1%に押さえたいとすれば1%÷20℃=500ppm/℃つまり+3500ppm/℃~+4500ppm/℃程度の33Ωと2.7Ωを入手したい。
ただ、最初はRSや秋月でさくっと見つかるかと思ったけど意外と見つからない。
KOAの抵抗だとLA73シリーズあたりが候補だが扱っている店が少ない。
digikeyで売っている特殊抵抗器カテゴリのERAV, ERASシリーズが個人が入手できる唯一の物で無かろうか?
何にせよそれを入手して続きを考えよう。
一応注意事項を記しておくと、上記AC特性が現実の物にするスマホ用アンプを作ろうとすると電源電圧が±100Vくらい必要だと思われます。
理由は?と言われたらオペアンプのトランス低域補償電圧出力上下限値(≒電源電圧)を考えるとそうなる。
±12Vだと±1V強の出力電圧を低域でも補償できるのは、本来のカットオフ周波数の一桁下ぐらいが限度でしょう。
時計の罠
測定するのに各種ソフトを使うわけですが、市販ソフトはまだ良いとしても
注意しなければいけないのが社内流通ソフトです。
本職がソフトでない先輩エンジニアがその場しのぎで作った(書いてて耳が痛い)ソフトが意外と長生きして使われていたりします。
昔、VB6で作られたソフトで連続試験のデータを3日ほど取って
エクセルで横軸:時間、縦軸:測定値の散布図を書かせていたんです。
時間はソフトが測定開始ボタンを押してからの経過時間が出力される形式だったのですが
2日以降の所で経過時間が0にリセットされ、散布図がぐちゃぐちゃになりました。
その場は、手作業で無理矢理時刻を修正して事なきを得ましたが
元は測定ソフトの時刻処理実装に起因したバグなので修正しようとしたら
案の定スパゲッティコードになっていて、時刻処理を直しただけのはずなのに
時刻と関係ないバグが表面化して、心折れ、諦めました。
VB6とか使われている所では2015年の今でも使われているのでご注意を。
スマホ用アンプ2
前回に引き続きスマホ用アンプ構想
今回のアンプの回路に関しては昔から作って見たかった回路を採用しようと思う。
その回路はCQ出版のOPアンプ大全4巻「OPアンプによる増幅回路の設計技法」に掲載されている
「歪みを最小にするため複合帰還の原理を適用したバランス型トランス駆動回路」
トランスの低域カットオフ周波数は主としてトランス一次側の巻き線抵抗Rと一次インダクタンスの時定数で決まる。
真空管アンプの低域カットオフ周波数が低いトランスがやたらと大きくなるのは主にそのせい。Rを小さく、Lを大きくすると低域カットオフ周波数が下がる。
そのために配線を太く、巻き数多くする。
巻き数が大きくなるとトランスのコア材が磁気飽和して、実効的なLが上がらなくなってくるので、巻き数を増やすのと併せてコア材のボリュームを上げる必要がある。
こうして、低域カットオフが低い物ほど、スペック的にはともかくサイズと価格的にイマイチなトランスができあがる訳だ。
上記回路図はトランスは安価な物を用いつつ、複合帰還で巻き線抵抗Rをキャンセルして、低域カットオフ周波数を下げる事に主眼が置かれた回路と解釈している。
詳細については上記引用文献参照のこと。
今回は元回路を参考にしつつ以下の点を考慮して定数と構成を変えている。
- 信号源はスマホのイヤホン端子に限定。それにより
- 直流オフセットは無視できる程度しか入力されない
- 信号源インピーダンスはイヤホン(大体32Ωくらい)を駆動できる程度には低いと期待できる
- 仕上がりゲインは約12倍を想定
- 現物のトランス一次巻き線抵抗に相当するR7を実測の上、R6は調整する
- 可変抵抗類は用いずR6は2~4個程度の抵抗の組み合わせで作る物とする。
- トランス巻き線抵抗の温度補償のためR6の温度特性は+3000ppm/℃~+4000ppm/℃になるよう構成する
方向性はこんな物、オペアンプが決定した段階で位相補償関係の素子を追加する。
LTSPICEで作図しているため、スマホ用アンプ1で述べたような案件を実現できそうなアンプとしてLTのLT1678をチョイスした。
他社で言えばTIのOPA1612、 OPA2211、LM4562系が該当するものと考えてる。
簡単に価格と入手性を確認した限りだとLM4562系が秋月で安く購入できて600Ω負荷を駆動できるのでよさそう。