スマホ用アンプ2
前回に引き続きスマホ用アンプ構想
今回のアンプの回路に関しては昔から作って見たかった回路を採用しようと思う。
その回路はCQ出版のOPアンプ大全4巻「OPアンプによる増幅回路の設計技法」に掲載されている
「歪みを最小にするため複合帰還の原理を適用したバランス型トランス駆動回路」
トランスの低域カットオフ周波数は主としてトランス一次側の巻き線抵抗Rと一次インダクタンスの時定数で決まる。
真空管アンプの低域カットオフ周波数が低いトランスがやたらと大きくなるのは主にそのせい。Rを小さく、Lを大きくすると低域カットオフ周波数が下がる。
そのために配線を太く、巻き数多くする。
巻き数が大きくなるとトランスのコア材が磁気飽和して、実効的なLが上がらなくなってくるので、巻き数を増やすのと併せてコア材のボリュームを上げる必要がある。
こうして、低域カットオフが低い物ほど、スペック的にはともかくサイズと価格的にイマイチなトランスができあがる訳だ。
上記回路図はトランスは安価な物を用いつつ、複合帰還で巻き線抵抗Rをキャンセルして、低域カットオフ周波数を下げる事に主眼が置かれた回路と解釈している。
詳細については上記引用文献参照のこと。
今回は元回路を参考にしつつ以下の点を考慮して定数と構成を変えている。
- 信号源はスマホのイヤホン端子に限定。それにより
- 直流オフセットは無視できる程度しか入力されない
- 信号源インピーダンスはイヤホン(大体32Ωくらい)を駆動できる程度には低いと期待できる
- 仕上がりゲインは約12倍を想定
- 現物のトランス一次巻き線抵抗に相当するR7を実測の上、R6は調整する
- 可変抵抗類は用いずR6は2~4個程度の抵抗の組み合わせで作る物とする。
- トランス巻き線抵抗の温度補償のためR6の温度特性は+3000ppm/℃~+4000ppm/℃になるよう構成する
方向性はこんな物、オペアンプが決定した段階で位相補償関係の素子を追加する。
LTSPICEで作図しているため、スマホ用アンプ1で述べたような案件を実現できそうなアンプとしてLTのLT1678をチョイスした。
他社で言えばTIのOPA1612、 OPA2211、LM4562系が該当するものと考えてる。
簡単に価格と入手性を確認した限りだとLM4562系が秋月で安く購入できて600Ω負荷を駆動できるのでよさそう。